介護の現場では、介護サービスを受ける高齢者本位の介助作業を行うことが重要です。利用する施設形態に関わらず、高齢者の過去や生活歴を知って介助に活かす必要があります。高齢者のことをよく知ることで、しっかりとコミュニケーションを取れるようになるからです。
他者とのつながりのきっかけになるコミュニケーションは、高齢者の意欲向上にも効果的だといえます。介護を必要とする多くの高齢者は、コミュニケーションが円滑に取れない方もいるでしょう。自分の意志や要求を相手に伝えることが困難となっている場合もあります。そのため、コミュニケーションがうまく図れない高齢者の意図を汲み、具体的な介護方法を学ぶことが望まれます。
さらに、より実践に活かせるスキルを身につけた介護士を目指すなら、日常的なコミュニケーションを振り返ることも大切です。普段の会話同様に高齢者の心理や行動にも個人差があることは、コミュニケーションを取る上で心得ておく必要があります。誰に対しても同じ対応を取らないように心掛けましょう。より有効なコミュニケーションを取るためには、高齢者をよく知る配慮と同時に自分自身をよく知ることも基本です。自分自身を知るとは、自分の内面を見直ししっかりとした自己の概念をもつということです。
例えば、若い介護士と高齢者とでは、過ごしてきた文化や出来事などさまざまな違いがあります。そのような中で、言葉遣いや表現の仕方といった多くの知識がコミュニケーションを取る上で必要です。そのため、自分自身から高齢者に歩み寄ることが、常に尊厳に配慮した親しみを込めた言葉使いにつながっていくのです。